世界最高峰を知る

男子ゴルフの4大メジャー、それこそがゴルフにおける世界最高峰です。4大メジャーとは、マスターズ・トーナメント、全米オープン選手権、全英オープン選手権、全米プロ選手権の4つのメジャー選手権。最も伝統があるのは1860年に始まった全英オープン選手権で、次いで全米オープン選手権が1895年、全米プロ選手権は1916年、マスターズ・トーナメントは1934年となります。なおマスターズ・トーナメントは、当時の世界4大大会を独占し、28歳で引退した“球聖”ボビー・ジョーンズが、米ジョージア州オーガスタにコースを完成させたことが起源。当初はオーガスタ・ナショナル・インビテーショナル・トーナメントとしていましたが、1938年から現在のマスターズ・トーナメントとなり、1950年頃から4大メジャーのひとつに数えられるようになりました。
この4大メジャーすべてのタイトルを同一年で獲得することをグランドスラム(もしくは年間グランドスラム)と呼び、同一年(1シーズン中)でなくても通算で達成すればキャリア・グランドスラムとして大きな名誉を得ることになります。過去にキャリア・グランドスラムを達成したのは、ジーン・サラゼン、ベン・ホーガン、ゲーリー・プレーヤー、ジャック・ニクラス、タイガー・ウッズの5人だけ。ちなみに、ジャック・ニクラスとタイガー・ウッズの2人は、すべての4大メジャーで複数回3勝以上挙げていて、トリプル・グランドスラムを達成しています(2勝以上はダブル・グランドスラム)。さらに言うと、ジャック・ニクラスのメジャー大会勝利数は18勝で歴代1位、タイガー・ウッズが14勝で2位です。

ジャック・ニクラス
タイガー・ウッズ

しかし、年間グランドスラムを達成した事例は過去に一度もありません(前身の大会で達成したボビー・ジョーンズは除く)。タイガー・ウッズが2000年の全米オープン選手権から2001年のマスターズ・トーナメントまで、選手権4連覇を達成したとき、これをグランドスラムと認定するかどうかでマスコミの間で論争があったそうです。前人未到の偉業ではありましたが、2年にまたがるこの記録は結局グランドスラムとは認定されず、「タイガースラム」と呼ばれることになりました。それだけ年間グランドスラムは難しく、また権威があるということなのですね。 では、6人目のキャリア・グランドスラム達成者は誰か、というと、候補は3人います。まずはフィル・ミケルソン。彼はタイガー・ウッズと同年代で、メジャー5勝を挙げる、左打ちのアイアン巧者です。達成していないのは全米オープンのみ。惜しい2位が二度あったのですが、優勝でなければまったく意味がない、ということです。続いては、北アイルランドの飛ばし屋、ロリー・マキロイ。メジャー4勝を挙げる彼が達成していないのは、マスターズ・トーナメントです。2018年のマスターズ・トーナメントは第3ラウンドですごい追い上げを見せたのですが、最終日にパトリック・リードの前に力尽きました。そして最後は、ジョーダン・スピースです。メジャー3勝と効率よく勝っています。あとは全米プロ選手権のみ。ドライバーからパターまですべてが上手い、お手本のような選手で、私の憧れです。なんとか達成してほしいものです。

  • フィル・ミケルソンフィル・ミケルソン
  • ロリー・マキロイロリー・マキロイ
  • ジョーダン・スピースジョーダン・スピース

さて、そんな男子ゴルフの4大メジャーですが、開催地と日本の時差が8〜14時間あるため、日本でのテレビ放送は深夜から早朝にかけての時間帯になります。メジャーの開催期間中、ゴルフ好きのおじさんたちはたいがい睡眠不足で出勤することに・・・。もちろん録画して後から見てもいいのですが、それでも生で見てしまうのは、手に汗握る臨場感がテレビを通しても味わえるからでしょう。青木功や中嶋常幸など、往年の名選手が解説を務め、彼らのゴルフ愛をひしひしと感じることができます。また、戸張捷氏の渋い声にも魅了されます。彼はプロゴルファーではなく、ゴルフ場の設計やゴルフイベントのプロデュースを手がける経営者で、「解説が分かりにくくて不親切だ」「プロゴルファーに対する上から目線が鼻につく」といった批判を受けることもしばしばありますが、視聴者の感覚に近いコメントは個人的に嫌いではありません。まあ、好き嫌いはハッキリ分かれるタイプですけどね。サッカー解説の松木安太郎氏と同じポジションではないかと思います。

  • 青木功青木功
    photo:VanaH杯KBCオーガスタ(2013)(1日目) 村上航
  • 中嶋常幸中嶋常幸
    photo:みんなのゴルフダイジェスト
  • 戸張捷戸張捷
    photo:golfnavi

そんな4大メジャーに日本人選手も挑戦しています。その頂ははるか遠く、グランドスラムはおろかメジャー制覇も成し遂げられてはいないのですが、2017年の全米オープン選手権で2位になった松山英樹には大きな期待が寄せられています。2位は青木功(1980年、全米オープン選手権)と並んで日本人最高位。また、これまで7大会でトップテン入りを果たしています。「ガンバレ、マツヤマ!」と、眠い目をこすりながら、世界最高峰の舞台に向かって声援を送りましょう。

松山英樹 photo:GDO